📚 諸星大二郎

2024/06/30

 とても短い作家評第14回です。

 諸星大二郎は画よりストーリーを優先する独特なタッチの漫画家です。 彼の漫画はあの手塚治虫をして、天才的と言わしめた、きわめて個性的な作風を誇ります。

 手に入るところで面白い漫画として『妖怪ハンター』の表紙を掲載しましたが、 実際のところ、ぼくがおすすめしたい作品は『夢見る機械』に掲載された 「ティラノサウルス号の生還」です。 2052年のある日、海王星観測基地の無人レーダーが 未知の飛行体をキャッチし、パトロール中の宇宙船が調査に向かいます。 わかったのは「ティラノサウルス」という船名だけなのですが、 これを伝え聞いた地上の老科学者たちはそろって顔をしかめます。


 かくされた謎を探ろうとカワノは資料センターで過去の記録に当たりますが、 この宇宙船関係の資料がことごとく抹消されているという不可解な現実にであいます。 ついに見つけた生き証人も、話を聞く直前にピストル自殺をとげてしまいます。 ティラノサウルス号はついに地球に到達し、 中から現れた乗組員たちを見た人々は驚愕のあまり声も出ません。 そこには人類の過去のおぞましい記憶が……。 まあ、そういった異世界譚が彼の得意分野です。 漫画家でなく、小説家となっていた方が名が売れていたかもしれません。

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