📚 斎藤惇夫

2024/08/26

 とても短い作家評第24回です。

 斎藤惇夫は『ガンバとカワウソの冒険』で野間児童文芸賞を受賞した児童文学者です。 どぶねずみのガンバとその15ひきの仲間たちが主人公の『冒険者たち』が有名で、 『ガンバとカワウソ…』はその続編となっています。

 もともと小説を初めて書いたのが『グリックの冒険』という、2匹のリスのお話です。 人間の家で飼われていたシマリスのグリックが伝書鳩のピッポーから森のことを聞き、 それこそ自分の故郷だと考え、北へ向かいます。 途中、動物園でのんのんというメスのリスに出会い、2匹で北をめざすのですが、 台風にあったり、キツネや、タカにねらわれたり、様々な苦難がふりかかります。


 動物のお話となっているものの、『冒険者たち』どうよう、ほとんど少年少女の物語となっています。 『冒険者たち』の潮路、『カワウソ』のナギサ、『グリック』ののんのんという、3匹のメスたちは、 困難に立ち向かっていく点でオス以上の強さを発揮します。 それは、幼い時期の少女たちの象徴であるのかもしれません。 作品には、どこか作者が私淑した瀬田貞二氏の訳された トールキンの作風を感じさせられるところがあります。

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