📚 日高敏隆

2024/07/28

 とても短い作家評第17回です。

 日高敏隆は東京生まれの動物行動学者で、昆虫にまつわる本を多数執筆しています。 少年少女向けの読みやすい文章を多く書いています。

  「チョウはなぜ飛ぶか」は毎日出版文化賞を受賞していますが、 だからいい本というわけでなく、ここに書かれているのは、 研究の裏側の、作者がなぜチョウの飛び方に興味を持ったのかという少年時代の話、 そして仮説を立ててはハズレていく失敗譚です。


 昔、成城の家で庭を飛ぶチョウを見たとたんに網をもって跳び出していく作者の姿は、 虫好きだったぼくの少年時代を思い出させてくれます。 近くのカラタチの木の回りを飛ぶアゲハチョウを採るところから、 次第にチョウ道へと興味が移り、仲間と高尾山や千葉県に観察に向かうあたりから、 興味深い昆虫学の世界へ知らないうちに巻きこまれてしまいます。 それがユクスキュルの環世界につながり、 ひいては最新のAIへとつながるのですから、もうびっくりですね。

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