📚 北原白秋

2024/07/22

 とても短い作家評第15回です。

 北原白秋は日本を代表する詩人にして歌人ですが、 その一方、日本人に愛された童謡を多く残しています。

 岩波少年文庫に掲載された『北原白秋童謡選』はそうした白秋の童謡を集めたものです。 「あめあめふれふれ かあさんが じゃのめでおむかい うれしいな」とか、 「待ちぼうけ、待ちぼうけ。 ある日、せっせと、野ららかせぎ、そこへうさぎが飛んで出て、ころり、ころげた木のねっこ」などは よく知られた一節ではないでしょうか。

 不思議に、静かで幻想的な世界、 触れたいけれど、下手に触れると壊れてしまいそうな、宝物のように貴重な世界。 それはどんな人にもかつてあっただろう、かけがえのない子供時代を写しとったものなのでしょう。 その行きつくところにあるのは、たぶん人類普遍の母と子の愛情なのだと思います。 「この道はいつか来た道、ああ、そうだよ。 お母さまと馬車で行ったよ」


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