📚 中谷宇吉郎

2024/08/18

 とても短い作家評第22回です。

 中谷宇吉郎は夏目漱石の『吾輩は猫である』の登場人物・寒月のモデル寺田寅彦氏の弟子です。 物理学者で、エッセイストというところは師匠の寺田寅彦そっくりで、 その文章は大体において一般読者にもわかりやすいものとなっています。

 とくに雪の結晶は中谷氏の好きな研究テーマらしく、 北海道在住時には冬ごとに山小屋生活をし、多様な雪の結晶を写真にとるだけでなく、 どうやってそれを人工的に作り出したかという苦労話は楽しく読めます。 「卵は立春でなくとも立つ」という証明をした話とか、 人生にとって落第がなぜよいかを身をもって証明した話とか、 科学者たちがドイルの『失われた世界』をまじめに読んだ様子とか、 科学というものがとても身近に感じられる話が満載で、 科学者を志す人にはとても参考になりそうです。


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