📚 木下順二

2024/12/01

 とても短い作家評第48回です。

 木下順二は戯曲『夕鶴』で有名な劇作家です。 『夕鶴』が「鶴の恩返し」に材をとっているように、 日本の古典に多大な関心をもっていた作家です。


 『わらしべ長者』は表題作をはじめとする民話22作を木下氏が独特の文体で書き直したものです。 よくある日本昔話集と同じだろうと思って読んでいると、驚かされます。 まず、文体が完全に語り調になっています。 それに加え、話の切り取り方や、人物の造形、心理描写などが昔話とはかなり違うのです。 近代演劇調になっているといってもいいかもしれません。 特に「ツブむすこ」「わらしべ長者」「大工と鬼六」「ききみみずきん」「みそ買い橋」「彦市ばなし」などには 感心します。

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