📚 小川未明

2024/05/24

 とても短い作家評第7回です。

 小川未明は日本の代表的な童話作家の一人です。 『月夜とめがね』『野ばら』などほとんどが短編作で、 ひとことでいうとメルヘンチックという作風です。

 最も有名な『野ばら』はもう少し積極的にテーマを伝えようとしています。 ご承知の方も多いでしょうが、簡単に紹介しておきます。

 国境の兵士である老人と青年は次第に仲良くなって挨拶を交わし、 将棋を指す間柄となります。 しかし、戦争が始まって、青年は戦場へ出かます。 ある日、老人は旅人から戦争が終わり、青年の方の国は負けて兵士は皆死んだときかされます。 老人がまどろむと、青年の率いる一隊がやってきて、彼は野ばらの匂いをかいで去っていきます。


 原稿用紙にして10枚に達するかどうか、 それでいて甘美なまでにひかえめに平和のもつ意味を問いかける作品になっています。 現代は、こんな作品を書く作家に出会うことはほとんどない時代です。 ストレスの多い現代人に、小川童話は究極の癒やしを与えてくれるのではないでしょうか。

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