📚 光瀬龍

2024/04/28

 とても短い作家評第3回です。

 光瀬龍は筒井康隆、小松左京などとともに 20世紀SF黄金時代の旗手となっていた作家の一人です。 『百億の昼と千億の夜』は、作者自身がその作品の価値を否定したにも関わらず、 氏の代表作として広く読まれました。 また、『地球テラへ』という作品は 漫画家・竹宮恵子の画で映画化され、人気を博しました。


 その作品の特徴は、小さな地球を広大な宇宙と対比し、 広大な宇宙の謎をサスペンスタッチで追い求めるところにあります。 その謎は最後まで消えず、人間は宇宙の孤児として取り残されます。 当時のSF作家はジュブナイル作品として少年少女を対象とした作品を多数書きました。 『明日への追跡』はその中の一編です。

 この作品はある中学へ謎の転校生がやってくるところに始まります。 転校生のクラスで2人が不可解な死をとげ、主人公・基は仲のいい芙由子とともに、 転校生がやってきた鎌倉の地へ調査に向かいます。 稲村ヶ崎の洞窟が全ての始まりだったことに気づいた基と友人たちは、 そこで繰り広げられる転校生どうしの死闘を目撃します。 対決は終わり、事件は解決したのですが、 去ってゆく宇宙人の姿には、どこか虚無的な深淵が感じられます。 大げさで作り物じみた前半と、 自然で息詰まるラストというのは他の作品にもみられる氏の特徴となっています。

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